奥歯の入れ歯:種類、費用、メリット・デメリットを徹底解説

奥歯の入れ歯:種類、費用、メリット・デメリットを徹底解説

奥歯の入れ歯について、このようなお悩みはありませんか?

『奥歯が抜けたままになっていて、そろそろ何とかしないと…と思っている』
『入れ歯を検討しているけど、どんな種類があるのか分からない』
『インプラントは無理そうだから、やっぱり入れ歯かな…と思っている』

奥歯を失ってしまったとき、「これからどうすればいいの?」と不安になる方は少なくありません。特に、入れ歯については「見た目が気になる」「うまく噛めないかも」「痛そう」など、さまざまな心配があるかと思います。

ですがご安心ください。今は入れ歯の種類も豊富で、症例に合った選択をすれば、しっかり噛めて、見た目も自然な仕上がりが目指せます。

この記事では、奥歯を失った場合にどんな入れ歯の選択肢があるのか、それぞれの特徴やメリット・デメリット、費用感についてわかりやすくお伝えしていきます。「そろそろちゃんと治そうかな」と考え始めた方にとって、最初の一歩になる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

奥歯を失うことの影響

奥歯を失ってしまうと、単に噛めなくなる以上に様々な影響が生じます。

 

奥歯の役割と重要性

「前歯が残っているからまだ大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

奥歯がなくても見た目には影響しませんが、さまざまな意味で奥歯はとても大切な歯なのです。

奥歯には、主に次のような役割があります。

 

  • ・食べ物をしっかり噛み砕く(咀嚼)
  • ・噛み合わせのバランスを支える
  • ・顎の関節や筋肉に適切な力を伝える

 

特に咀嚼に関しては、奥歯が担う割合は全体の7〜8割ともいわれています。奥歯を失うことで、十分に噛めなくなってしまうと、胃腸への負担が増えるだけでなく、栄養の吸収効率が落ちてしまうこともあるんです。

また、奥歯は上下の噛み合わせの「柱」ともいえる存在です。左右どちらか一方だけでも欠損すると、歯全体のバランスが崩れやすくなります。

「奥のほうだから見えないし…」と思いがちですが、目立たないからこそ気づかれにくく、進行もしやすいので注意が必要です。

 

奥歯を失ったまま放置するリスク

奥歯を1本でも失ってしまうと、そこから口腔内全体のバランスが崩れていく可能性があります。たとえば以下のように、一箇所の欠損が全体に影響を及ぼしてしまいます。

 

  • ・両隣の歯がすき間に向かって倒れ込んでくる
  • ・噛み合っていた反対側の歯が伸びてくる(挺出)
  • ・噛み合わせがズレて、顎の関節に負担がかかる
  • ・残っている歯に噛む力が集中して、他の歯の寿命も縮まる
  • ・発音がしづらくなる、顔貌が変化して老けた印象になる

 

また、「痛みがないから大丈夫」と思っていても、実はすでに歯列や骨に大きな変化が起きているケースも少なくありません。

入れ歯を検討するのは、「今さら…」ではなく「今から」でも間に合います。一度失った歯は自然に戻ることはありませんが、適切な対応をすることで、これ以上の悪化を防ぎ、口腔内全体の健康を守ることが可能です。

 

奥歯を補う治療法の選択肢

奥歯を失った場合、そのままにしておくことは口腔内全体にさまざまな悪影響を及ぼすため、何らかの方法で補うことが大切です。

奥歯の欠損に対しては、主に以下の3つの治療法が用いられます。

 

部分入れ歯(義歯)

部分入れ歯(義歯)

部分入れ歯は、残っている歯にバネ(クラスプ)などで引っかけて使用する、取り外し可能な装置です。保険診療内で対応できるものから、審美性や装着感に配慮した自費診療のタイプまで、種類はさまざまです。

比較的短期間で製作が可能であり、外科手術を伴わない点も特徴の一つです。ただし、支えとなる歯に負担がかかる場合があることや、装着感に慣れが必要なことなども考慮しておく必要があります。

 

ブリッジ

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削って支柱とし、橋をかけるように人工の歯を固定する方法です。固定式で違和感が少なく、見た目も自然に仕上がりやすいため、比較的満足度の高い治療法です。

ただし、健康な歯を削らなければならない点や、支えとなる歯への負担が大きくなる可能性があるため、慎重な判断が求められます。

 

インプラント

インプラント

インプラントは、歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。見た目や噛み心地が自然歯に近く、周囲の歯に影響を与えないという点が大きなメリットです。

一方で、外科的な処置が必要となるため、全身状態や骨の量・質によっては適応できない場合もあります。また、自由診療であるため費用面の検討も必要です。

それぞれの治療法には長所・短所があるため、「何が一番良いか」は患者様のお口の状態やご希望によって変わってまいります。当院では、入れ歯をご希望で来院された方にも、他の選択肢を含めて丁寧にご説明し、納得いただいたうえで治療方法を決定しております。

 

奥歯の部分入れ歯の種類と特徴

一口に「部分入れ歯」といっても、実際には素材や構造の異なるさまざまな種類があり、それぞれに特徴と適した症例があります。

ここでは、奥歯の欠損に対応する代表的な部分入れ歯のを4種類ご紹介いたします。

 

レジン床義歯(保険適用)

レジン床義歯(保険適用)

保険診療で対応できる一般的な入れ歯です。床(しょう)と呼ばれる部分がレジンと呼ばれる樹脂素材でできており、費用を抑えたい方にとって現実的な選択肢といえます。

ただし、レジンはある程度の厚みが必要であるため、装着時に違和感を覚えやすいという一面もあります。また、耐久性や熱伝導性の点では自費診療の金属床義歯に劣る傾向があります。

 

金属床義歯

金属床義歯

床部分にコバルトクロムやチタンなどの金属を使用した入れ歯です。金属ならではの強度により、床を薄く作製することが可能であり、装着感が軽く、違和感が少ないのが特長です。

また、食べ物の温度を感じやすく、食事の楽しみを損なわないという点でも評価されています。一方で、自由診療となるため、費用が高額になる点には注意が必要です。

 

ノンクラスプデンチャーノンクラスプデンチャー

 

金属のバネ(クラスプ)を使わない、見た目に配慮された部分入れ歯です。ピンク色の弾力性のある樹脂で固定されるため、周囲の歯に金属が見えることがなく、審美性を重視したい方に適しています。

ただし、耐久性や修理のしやすさに課題があるため、長期的な使用を前提とする場合には注意が必要です。また、症例によっては適応できないケースもあります。

 

テレスコープ義歯

テレスコープ義歯

ドイツで開発された高度な技術を用いた入れ歯で、支えとなる歯に二重構造の冠(クラウン)を装着し、その上から入れ歯を被せて固定する方式です。

強い咀嚼力と高い安定性を持ちながら、見た目にも自然で、装着・取り外しが簡便という特長があります。ただし、精密な技術を要するため、製作に時間がかかり、対応できる歯科医院も限られているのが実情です。

このように、入れ歯にはそれぞれに異なるメリット・デメリットがあり、患者様のお口の状態やライフスタイルに応じて、最適な選択肢は変わってまいります。当院では、機能性・審美性・費用面など、総合的な視点からご提案を行っております。

 

各入れ歯のメリットとデメリット

ご紹介した部分入れ歯には、それぞれに「向いている人」「気をつけるべきポイント」があります。

ここでは、主な4種類の入れ歯について、メリットとデメリットを整理してご紹介いたします。

 

レジン床義歯のメリット・デメリット

メリット

 

  • ・保険適用のため、費用負担を抑えやすい
  • ・修理や調整が比較的容易
  • ・比較的短期間で製作できる

 

デメリット

 

  • ・床に厚みがあり、違和感を覚えやすい
  • ・強度や耐久性にやや劣る
  • ・食事中に熱を感じにくいことがある

 

レジン床義歯は、保険内で作製できる入れ歯として広く用いられています。費用を抑えて治療を始めたい方にとっては現実的な選択肢ですが、快適さや機能性を重視する場合には、やや物足りなさを感じることもあるかもしれません。

また、床の厚みによって「話しにくい」「食べ物の味や温度を感じにくい」といった違和感を訴える方も少なくありません。ただ、定期的な調整を重ねることで使用感は次第に改善されるケースも多いため、入れ歯に初めてチャレンジする方の入門的な位置づけとして選ばれることもあります。

 

金属床義歯のメリット・デメリット

メリット

 

  • ・床が薄く作れるため、装着時の違和感が少ない
  • ・金属の強度により耐久性が高い
  • ・熱伝導性が良く、食事中の温度が伝わりやすい

 

デメリット

 

  • ・自由診療のため、費用が高額になる
  • ・金属アレルギーのリスクがある
  • ・修理には専門的な対応が必要な場合がある

 

金属床義歯は、入れ歯の「着け心地」にこだわりたい方におすすめの選択肢です。特に「違和感が少なく、長期間快適に使える入れ歯を作りたい」という方に適しています。

見た目ではわかりにくい部分ではありますが、床が薄くなることで話しやすさや食事中の快適さに直結し、生活の質を大きく左右することにもつながります。

費用は保険の義歯より高額になりますが、長期的に使用することを前提に考えたとき、満足度の高い治療法と言えるでしょう。

 

ノンクラスプデンチャーのメリット・デメリット

メリット

 

  • ・バネが見えないため、見た目が自然
  • ・金属を使用しないため、アレルギーの心配が少ない
  • ・軽くて装着感が柔らかい

 

デメリット

 

  • ・強度や耐久性に限界がある
  • ・修理・再調整が難しい
  • ・適応できない症例がある

 

ノンクラスプデンチャーは、審美性に特化した入れ歯として人気があります。特に、「見た目が気になって人前で話すのが苦手になってしまった」「笑うとバネが見えるのがイヤ」という方に選ばれています。

柔らかくフィットする装着感は魅力ですが、一方で、長期間の使用には不向きで、通常2〜3年程度での作り替えが必要になる場合もあります。また、支えとなる歯が少ないケースでは適用できないことがあるため、あくまで限定的な場面で有効な選択肢といえるでしょう。

 

テレスコープ義歯のメリット・デメリット

メリット

 

  • ・噛む力をしっかり支えられるため、咀嚼機能が高い
  • ・見た目にも自然で、着脱もスムーズ
  • ・残存歯への負担が少ない構造

 

デメリット

 

  • ・製作に時間と高い技術力が必要
  • ・自由診療で費用がかかる
  • ・対応できる歯科医院が限られる

 

テレスコープ義歯は、高度な技工技術が必要な精密義歯です。クラウンを使った二重構造により、しっかり噛めるうえに外れにくく、部分入れ歯でありながら「総入れ歯に近い安定性」を求める方に適しています。

見た目にも自然で、金属のバネが見えない設計となっており、審美的な満足度も高い傾向にあります。

ただし、対応できる歯科医院が限られるほか、費用面や製作期間もある程度の余裕を見ておく必要がある治療法です。

 

このように、それぞれの入れ歯には特徴や使い心地、向き不向きがはっきりと存在します。

ご自身の口腔内の状態やライフスタイル、ご予算に合わせて、どの選択が最も適しているのかを見極めることが大切です。

当院では、入れ歯専門外来として、患者様のご希望と現実のバランスを踏まえたご提案を心がけております。

奥歯の部分入れ歯の費用相場

奥歯の部分入れ歯の費用相場

入れ歯を検討する際、多くの方が気になるのが「費用はどのくらいかかるのか」という点ではないでしょうか。

実際の治療費は、選ぶ入れ歯の種類や素材、設計によって大きく異なります。ここでは、保険診療と自由診療、それぞれの費用相場についてご紹介いたします。

 

保険適用の部分入れ歯の場合

保険診療で対応できるのは、レジン(樹脂)製の部分入れ歯です。

費用は地域や診療報酬の点数によって若干の差はありますが、おおよそ5,000円〜15,000円程度となることが一般的です。

初診料や検査費用、調整費用などが別途かかる場合がありますが、費用負担を抑えたい方にとっては選びやすい選択肢です。ただし、耐久性や装着感、審美性といった点で制限があるため、「まずは入れ歯に慣れたい」「予算の範囲でとにかく早く治したい」という場合に適しています。

 

自由診療の部分入れ歯の場合

自由診療での入れ歯は、使用する素材や設計の自由度が高く、快適性・見た目・耐久性に優れた仕上がりを目指すことができます。

このページでご紹介した自由診療の部分入れ歯の費用ですが、相場としては概ね以下のような費用になるかと思います。

 

  • ・金属床義歯:約200,000円〜500,000円
  • ・ノンクラスプデンチャー:約100,000円〜400,000円
  • ・テレスコープ義歯:約500,000円〜1,000,000円

 

これらの義歯は、見た目の自然さや、噛みやすさ、耐久性などを重視する方に選ばれています。

ただし、費用が高額になるため、「一度しっかり作って、長く使いたい」という価値観の方におすすめです。

自由診療においては、医院ごとに費用体系が異なりますので、必ず事前の説明と見積もりの提示を受けたうえで納得して選択することが大切です。

当院では、初回のカウンセリング時に、治療の選択肢とそれぞれの費用について詳しくご説明いたします。

無理に高額な治療を勧めることはありませんので、「まずは相談だけでもしてみたい」という方もどうぞご安心ください。

 

まとめ:奥歯の欠損は放置せずに当院の部分入れ歯をご検討ください

まとめ:奥歯の欠損は放置せずに当院の部分入れ歯をご検討ください

奥歯を失ったままにしておくことは、見た目だけでなく、噛む・話す・飲み込むといった日常のあらゆる機能に影響を及ぼす可能性があります。さらに、残っている歯への負担が増えたり、噛み合わせが崩れたりといった、お口全体の健康を損なうリスクにもつながりかねません。

そうした悪循環を防ぐためには、できるだけ早い段階での治療が肝心です。部分入れ歯にはさまざまな種類があり、機能性や見た目、費用面など、それぞれに異なる特徴があります。まずは「自分に合った治療とは何か」を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

デンタルオフィスハルでは、これまで歯科医院に通えていなかった方でも、通いやすい・親しみやすいと感じていただける雰囲気づくりを大切にしています。入れ歯をご希望で来院された場合でも、状態によっては歯を残せる可能性や、他の選択肢をご提案できることもあります。私たちは、無理に治療を進めることはせず、患者様ご自身が納得し、ご自身で選んでいただくことを第一に考えております。

「怖くてなかなか歯医者に行けなかった」
「何年も放置してしまっていて、今さら…と感じている」

そんなお気持ちをお持ちの方こそ、ぜひ一度ご相談ください。

専門的な知識と豊富な症例をもとに、どんな状態からでも、前向きな一歩を踏み出せるよう丁寧にサポートいたします。

 

監修者情報

院長 加藤 晴康

院長 加藤 晴康

大阪歯科大学に入学し、歯科医師免許取得。
卒業後は、口腔外科にて研修後、東大阪本多歯科医院にて約10年本多正明先生に師事し、総合診断、補綴を徹底的に学び研究・教育に従事。

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