入れ歯が【割れた】壊れる原因と対処法を解説

「入れ歯は壊れたら作り直せるの? 」

「修理できるの?」

皆様は、入れ歯が壊れてしまい、困った経験などはありませんか?

保険診療の入れ歯は作りやすく、調整もしやすい装置ですが、比較的壊れやすくもあります。

毎日使っていて、何か違和感が生じたら、どこかに破損が生じている可能性が高いです。この記事では、入れ歯の壊れ方や原因、そして対処法を解説致します。

入れ歯が壊れる

よくある入れ歯の壊れ方

1.入れ歯の人工歯が外れた、折れた

保険診療の入れ歯は、レジンと呼ばれるプラスチックで作られています。そのため、摩耗や破折は比較的起こりやすい点にご注意ください。また、床の部分とも接着剤でしっかり固定されているわけではないので、強い衝撃が加わったり、長年使っていたりすると外れることがあります。

人工歯が外れてしまう原因

☑咬み合わせが安定していない(部分的に過剰な力がかかる)
☑歯ぐきと入れ歯が合っていない
☑硬いものを噛んだ時に人工歯へ過剰な力がかかった
☑レジンが経年的に劣化した

 

2.入れ歯の床(しょう)にヒビが入った、割れた

入れ歯の床の部分もアクリルレジンと呼ばれる一種のプラスチックで作られており、強度や耐久性に優れた材料ではありません。そのため、床にヒビが入ったり、全体が大きく2つに割れてしまったりすることも珍しくないのです。

床が割れる原因

☑歯ぐきと入れ歯が合っていない
☑材料の経年劣化
☑入れ歯を床に落としてしまった
☑かみ合わせが変化して入れ歯に過剰な力がかかるようになった

 

3.入れ歯の留め具が折れた、曲がった

保険診療の部分入れ歯には、クラスプと呼ばれる留め具が設置されています。クラスプは歯科用合金で作られており、とても丈夫ではあるものの、長年使っていく中で折れたり、曲がったりすることがあります。その結果、歯列へと適合性が低下して、入れ歯の装着が不可能となります。

留め具が折れる原因

☑無理な入れ歯の設計
☑歯ぐきと入れ歯が合っていない
☑材料が経年的に劣化して装置全体も変形した
☑かみ合わせ変化して不適切な咬合圧がかかるようになった

 

入れ歯が壊れたらすぐに歯科に受診を

入れ歯の故障の放置するのはとても危険です。壊れた入れ歯をそのまま使うと、お口にさまざまな悪影響が生じます。壊れた入れ歯を使わなくなっても、よく噛めなくなり、お口の機能の低下につながり残りの歯の負担が大きくなります。ですから、入れ歯が壊れたらすぐに歯科を受診してください。

 

壊れた入れ歯は修理できることが多いです

入れ歯は、取り外し式の装置であり、修理もしやすいのが利点です。人工歯が外れた、クラスプが曲がった、床にヒビが入ったといった故障であれば、基本的に修理できます。

 

修理が困難なケース

入れ歯は、壊れ方によっては修理できないこともあります。
とくに以下に挙げるようなケースは、入れ歯を新製する必要性が高まります。

☑入れ歯が粉々になるくらい破損した
☑ケガなどによって本物の歯が複数本抜けた、折れた
☑留め具をかけてある歯が抜けた、差し歯が取れた

 

入れ歯の故障を自分で修理するのはおすすめしません

人工歯が外れたり、床が割れたりした場合、市販の接着剤で修理しようと試みる方がいらっしゃいますが、それは絶対にやめてください。入れ歯はとても精密な装置ですので、正しい知識がなければ元の状態に戻せません。何より、歯科医院での修理が不可能となるため十分注意してください。

 

保険の入れ歯は6ヶ月間は作り直しができない?

保険適用で作成した入れ歯は、壊れてしまった場合であっても作り直せるのは「6ヶ月後」と決められています。(※修理や調整は可能です)
これは、日本の保険制度で定められたルールであり、かなり厳格なルールです。
新しく入れ歯を作成したら、失くしたり、壊したりしたりしないよう、大切に取り扱いましょう。

 

入れ歯の故障を防ぐ方法

① 残りの歯も含めた多角的な診断と適切な治療手順で入れ歯を作成

入れ歯のトラブルの原因は、様々な要因が重なって起きることが往々にしてあります。
そのため、口の中の状況、噛み合わせ、残っている歯の状態など色々な角度からしっかり読み取って診断することが重要です。

 

② 強度が高く劣化が少ない材料を選択

入れ歯の材料には、たくさんの種類があり、お口の状況や入れ歯を入れる目的などに応じて、適切な材料を選択することができます。強度の高い金属や耐衝撃性も優れた「特殊なプラスチック」など、状況に応じて適切な材料を選択することが望ましいです。

 

③ 正しい毎日のお手入れと外した入れ歯の置き場所はあらかじめ決めておく

入れ歯は、誤った方法でお手入れしていると、材料の劣化や変形につながります。正しいケア方法を身に付け、毎日ていねいに行ってください。
また、入れ歯を外した際に「とりあえずここに置いておこう」の状況が日常化すると、何かの拍子に床に落ちたり、飼い犬が入れ歯を噛んでしまったりすることがあります。ですから、入れ歯を外したら必ず保管ケースに入れた上で、決まった場所に置きましょう。

 

④ 定期的に検診を行い入れ歯に違和感が生じたらすぐに主治医に相談する

入れ歯の装着感が悪くなったら、何らかの異常やトラブルが生じている証拠です。大きく破損したり、変形したりする前に主治医に相談しましょう。

 

 

こんな症状が現れたら要注意

☑噛みにくくなった
☑入れ歯の一部が歯茎に当たるようになった
☑入れ歯がズレやすくなった

 

入れ歯は大切に取り扱って長持ちさせましょう

このように、入れ歯はいろいろな原因で故障することがあります。割れたり、欠けたりした場合でも修理できるケースが多いので、まずは主治医に相談することが大切です。また、毎日のケアや取り扱いに注意すれば、入れ歯の破損や故障も予防することが可能なので、できるだけ大切に扱うようにしてください。

入れ歯の種類についてはこちら>>

 

監修者情報

院長 加藤 晴康

院長 加藤 晴康

大阪歯科大学に入学し、歯科医師免許取得。
卒業後は、口腔外科にて研修後、東大阪本多歯科医院にて約10年本多正明先生に師事し、総合診断、補綴を徹底的に学び研究・教育に従事。

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